ことばの海

好きなものの話ばっかりしていたい。

舞台GANTZ:L―生のエネルギーという麻薬―

自分でもびっくりするくらいロスっている。

舞台「GANTZ:L -act&action stage-」が終演して丸3日。頭の中でぐるぐる反芻してはひたすらロスっている。玉ロスである。今すぐ黒い球の部屋に行きたい。どうしたことだ。

作品自体は覚悟していった通り、なかなかに重い演目だった。わたしは実は原作をきちんと読んでいなくて、ニノが主演していた映画版とさとうけいいち監督のアニメ映画版しか履修せずに行ったのだが、「GANTZ」といえばガンツスーツ、アクション、そして容赦ないグロテスクな描写だということは知っている。人が千切れたり吹っ飛んだりはさすがに舞台では難しいだろうし、どんな演出になるのだろうと疑問に思っていたのだが、蓋をあけてみたら、物理的なグロテスク描写のない代わり、人間の醜い部分――精神的に来るほうのエグさがこれでもかとばかりに描かれていた。

ダメージは同等、観ている間手のひらにじっとり汗をかいていたし、ざらりと胸をえぐってこられる感覚が映画版を観たときと全く同じだったのに驚いた。

そして爆音、腹に響く低音、光を使った演出で否応なしに観客もそのガンツ世界に引きずり込まれる。かっこいい男子目当てでのこのこやってきたらぶちのめされそうな勢い。劇場もある意味ガンツ部屋と同じく閉鎖空間だというのを、あんなに思い知ったことはなかった。

キラキラした舞台ではない。正直好き嫌いはわかれるかもしれない。私は好きだった。観終わるとまたあの過酷な世界に身をゆだねに行きたくなる。どんどん癖になっていった。

 

この作品に出てくるキャラクターは、ほとんどが 汚い言葉で言うと ゲスな人間ばっかりだ。それがまた、絶妙にリアリティのあるゲスさなのだ。こういうタイプの人確かにいるかも…もしくは、この状況下に放り込まれたらこういう風になっちゃう人確かにいるかも…と思わせる説得力がある。(特にオリジナルキャラクターの面々)

そのどうしようもない人間たちが、極限状態に放り込まれたとき、どうしようもなさを如何なくさらけ出して生き、そしてあっけなく死んでいく。

演出の鈴木勝秀さんはこういう極限下の人間ドラマをやりたかったんだな、そして観客をそれに巻き込みたかったんだな、とわかるし、その狙いは十分に成功していたんじゃないかな、と個人的には思っている。

なんといってもきちんと狙いに応えるキャスト陣の熱演が良かった…!舞台っていうのは生身の感触がダイレクトに伝わってくる場所で、だからこそ私は大好きなのだけど、今回はその生々しいエネルギーを真正面からぶつけられて圧倒された。人間のエゴや狂気をひっくるめてぶつけられたから、なおさら。観ているこちらもものすごく消耗したんだから、役者さんの疲労たるやいかばかりか。本当に12公演、お疲れさまでした。

人間の放つ全力のエネルギーっておそろしい。最初は強烈な刺激だけど、終わるともっと欲しくなっていく。舞台GANTZ:Lは私にとってそんな麻薬みたいな作品だった。

その気持ちは劇中で非日常を求め続けた和泉紫音と何が違うんだろう。

狂気は誰の中にも潜みうるのだ、と考えながら、私はあのエネルギーを忘れられずに円盤を心待ちにしている。

 

あ、2/18までならニコ生のタイムシフト配信が買えるからそっちも見るよ!(ダイマ)爆音苦手なひとも配信なら音調節できるから少し見やすいと思うよ!(ダイマ)

 

 

 

 

ここからは役者さんの雑感。

百名ヒロキくん(玄野)

すごく頑張ってたな、というのが第一印象。個人的に、最初に見たときと千秋楽で一番演技が(良いほうに)変わっていたと感じたのがこの人。若いってこれだからすごいよね!ちょっと目を離すとすぐ進化する!

玄野の冴えないどうしようもない感じ、極限状態に流されていくところが良い意味で等身大で良かった。初主演とは思えないくらいすごく堂々としていて、肝が据わっている方なんだなと思って見ていたんだけどトークはこれまで観てきた役者さんの中で1,2を争うふわふわで笑ってしまったw

 

高橋健介くん(加藤)

蜂須賀虎徹(刀ミュ)のイメージしかなかったんだけど、いやいやいや男臭い役すごい似合うじゃん~~!低くした声と仁王立ちが様になっててとても良かった。役どころ的にも加藤が一人作品の良心を担ってるから、ただただかっこいいっていう。本人が結構ガツガツしたタイプみたいだから、もしかしたらこっち系の方がやりやすかったりするんだろうか。

そしてあまりにもお顔がちっちゃい。目が大きい。脚が長い。ガンツスーツ着たときガン見したよね…まースタイルいいったら…

 

浅川梨奈ちゃん(岸本)

同期が休憩室に置いていく青年誌の表紙で名前は見ていた。「りなちゃん」じゃなくて「ななちゃん」なのね、勘違いしてたよー。

岸本って一歩間違えれば鼻につく感じになりかねない子だと思うんだけども、うまく落とし込んでたと思います。玄野がパンツのぞきたくなるのもわかりそうになる納得の可愛さだった。白ニットワンピ100点。ガンツスーツは10000点。

 

佐藤永典くん(西くん)

テニミュのDVDで見つつ、色んなところで名前は見つつ、生で観るのは初。個人的に今回一番熱演が光ってたのは彼だと思う。前半引っ張ってたのは多分彼。すっっごい良かった!

長台詞をとうとうと詠い上げる台詞回しがお見事。声と抑揚の付け方がめちゃめちゃ良くて聞き惚れた。西くんの傲慢さと弱さがねっとりしてて(最大限に褒めてます)大好きになったよね!

 

藤田玲さん(矢野)

オリジナルキャラMVP!って勝手に叫んでましたすみません。インテリヤクザ柄悪くて最高だった~~ろくでもないんだけどどこか憎めないキャラ造形が素敵。自分の悪性を自覚しつつそれに身を任せてる感じがとても好みでした。メインの後ろでちょいちょいやってる細かな演技も流石の一言。上手い。

あとアクションは流石慣れてらっしゃいますよね。アフターアクションショーでの刀捌きは水を得た魚って感じだった。見得の切り方をわかってらっしゃる。滅茶苦茶かっこよかったよ!!

ところで藤田くん、大人の色気がものすごかったんだけど、調べたらまだ20代…?!さとちゃんと2つ違い?!いやー、役者さんの年齢ってほんとわからん…。

 

村瀬文宣くん(坂本)

アクションがとにかくすごくうまくて見惚れてしまった!アフターイベントのアクションショーでも輝いてた。初めてお名前を知ったんだけどイケメンさんで演技もしっかりしてらして、これからが楽しみだなって思いました。上から目線でごめんなさい。

あと加藤の叔父さん役を兼ね役でやってらしたと後で聞いてびっくりした。全然気づかなかったよ…!

 

影山達也くん(小池)

矢野の次におおっと思ったのが小池先生でした。表面的にはにこにこしながら裏に支配欲と権威主義をにじませる小池先生、倫理の枷が外れるととたんに暴力性が剥き出しになっててとても良い。また中の人が端整なルックスだから説得力が増すんだな…!

 

大原海輝くん(高橋)

ひたすらにかわいい。玄野とはまた違う等身大の学生っぽさが大変にかわいい。主演ファンと思しき女の子たちが、終わったあとに海輝くんかわいいって言っていてさもありなんと納得した。

出番が少なめだったのがちょっと残念、またどこかの作品で拝見したいです。

 

久保田悠来さん(和泉)

いやーーー凄かった。正直に言ってしまうと、後半はこの人が全部持って行ったんじゃなかろうか(贔屓目も入ってるかもしれないけど!)

なんといってもその迫力と存在感!際立ってました。怖かった。

最初は演技がナチュラル寄りで、その淡々としたナチュラルなまま、皮が裏返っていくように狂気が顔を出してくるのが最高に良かった。あと声が抜群に良い。あんな声の出し方するんだ?!囁いてるのに綺麗に声が通るの凄いし、その優しい猫なで声のまま虐殺を重ねていくのぞくぞくしたよね。狂気が熱を帯びていって最高潮に達した時の笑みには鳥肌が立ちました。最高。

アクションも圧巻でしたわ…一撃一撃の重さがわかるアクション素晴らしい。思わず見入ってしまったもん。そして銃の扱い方があまりにも慣れていたのにちょっと笑ってしまった…流石。

 

 

ただ1点だけ心残りを挙げるとするならば、全員のガンツスーツを見たかった。これに尽きます。次回作やったら今度は全員着てください!!!

ニコ生ページ貼っとく!2/18までタイムシフト視聴できるようですよ!

sp.live2.nicovideo.jp

 

※noteにも同じ文章があります。どのプラットフォームが良いのか上げてみて色々模索中。すみません…。